第3回 ナゾの絶滅大型哺乳類デスモスチルスとは何者か

 冨田さんはデスモスチルス類の系統を示す図表を見ながら説明してくださった。おっしゃる通り「大きくない」グループなのだが、そこに記されているもののほとんどが何らかの形で「日本」と関係している。図表を見てほしいのだが、ひとつ、注釈しておいた方がいいのは、デスモスチルスというのが、このグループで最初にみつかった化石に付けられたもので、グループ全体を示す「デスモスチルス類」(束柱類)の名にも採用されていること。混乱しやすいので、ここから先はグループとしては「束柱類」で統一する。

束柱類の系統図。P.はパレオパラドキシア、B.はベヘモトプス、D.はデスモスチルスを指す。(「太古の哺乳類展」より)(画像クリックで拡大)

「まず、束柱類の世界最初の頭骨というのが、明治時代、岐阜県瑞浪市で見つかってるんです。そのあと、世界最初のデスモスチルスの全身骨格っていうのが南サハリンで見つかって、戦後になって、また岐阜県、今度は土岐市で、世界最初のパレオパラドキシアの全身骨格が見つかってます。しかも戦後、1970年代、80年代にも山形、福島、それから岡山、群馬とか、あちこちでパレオパラドキシアの全身骨格が見つかってきてるんです。それに引きかえ、日本以外では、カリフォルニアで1頭だけ全身骨格が見つかってるんですけど、あとはみんなバラバラの歯とか、せいぜい顎だけなんです」

 束柱類の名のもとになったデスモスチルスと、「古生物学の謎」パレオパラドキシアは、グループの中のダブルエース(?)というべき存在だ。これらの良好な化石は、日本でばかり産出する。比較的、動物化石に恵まれない土地であるこの島国で、体長2~3メートルもある絶滅大型哺乳類のグループを名実ともに「独占」するようなことが起きているのである。

 しかもそれだけではない。

デスモスチルスの復元図。(「太古の哺乳類展」より)(画像クリックで拡大)
パレオパラドキシアの復元図。(「太古の哺乳類展」より)(画像クリックで拡大)