第3回 ナゾの絶滅大型哺乳類デスモスチルスとは何者か

 デスモスチルス類は、日本からカリフォルニアにかけての北太平洋沿岸地域でだけ、化石が発見される絶滅哺乳類で、特に日本での化石が圧倒的に多い。よくみる復元画では、カバを思わせる雰囲気に仕立ててある。水辺の生き物という共通点があるからだろう。

デスモスチルスの頭骨の化石。円柱状の歯が束になっている。(北海道大学総合博物館蔵・「太古の哺乳類展」より)(写真クリックで拡大)

 日本語では束柱類(そくちゅうるい)という。その名の通り、円柱を束ねたような歯が特徴で、ひと目みれば、その特殊な歯並び(?)は忘れられなくなる。本当に「柱」のようだし、なにかの鉱物の結晶のようにも見える。いったいこの歯で何を食べていたのか。現生動物に似た者はおらず、謎だ。おそらく海岸で活動していたそうなのだが、それも謎だ。現生の動物では、ゾウなどの長鼻類やジュゴンなどのカイギュウ(海牛)類と近いと言われているけれど、厳密なことはやはり謎だ。デスモスチルス類の代表的な種類のひとつ、パレオパラドキシアの名前は、「古生物学上(パレオ)のパラドックス」という、古生物学者のとまどいをそのまま反映した名になっている。

 そして、そんな謎だらけのデスモスチルス類は、様々な意味で「日本」と固く結びついている。

「デスモスチルス類は、動物のグループとしては非常に小さいんですけれども、なぜか日本が世界初のとか、世界で一番たくさんのとか、そういう何でも世界一の記録を持っているんです」

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