第2回 実はゾウの楽園だった日本列島

 さて、ミエゾウ、ハチオウジゾウ、アケボノゾウの系列に戻る。これらは、日本各地で見つかっており(例えば、ミエゾウは三重県をはじめ、長崎県、福岡県、大分県、島根県、長野県、東京都でも発見されている)、しかし、大陸では発掘されていないという意味で、日本固有種だと考えられている。しばしば地名を冠していることからも、各地の「ご当地ゾウ」でありつつ、「日本固有のゾウ」でもある。そして、島環境らしく、時代が下るに従って、体が小さくなっていく。ご先祖のツダンスキーゾウに近いミエゾウは肩高が4メートルもの巨躯だったのに対して、アケボノゾウは2メートルだ。

「アケボノゾウは、70万年くらい前まで生きのびていたんですけど、そこで絶滅しちゃうんです。実はその一歩手前の110万年前ぐらいのときに、大陸からまた全く今まで日本にいなかったゾウが入ってくるんです。これがムカシマンモスと呼ばれているやつで、これまでいろいろな名前でよばれていた化石がふくまれており、シガゾウもそのひとつです。だから、この時期、さっきのアケボノゾウと、国内で2種類生存していたことなります。ムカシマンモスも、アケボノゾウと同じ時期70万年前に絶滅してしまうんですが、その後、今度は60万年ぐらい前にトウヨウゾウっていうのが入ってきます。トウヨウゾウは、10万年ぐらいしか日本にはいなかったんです」

日本におけるゾウの変遷。(「太古の哺乳類展」より)(画像クリックで拡大)

 ムカシマンモスは、その名の通り、のちのマンモスにつながるもので、トウヨウゾウは、ミエゾウ、ハチオウジゾウ、アケボノゾウと同様のステゴドン類だ。ミエゾウ、ハチオウジゾウ、アケボノゾウは日本固有と考えられているが、トウヨウゾウは大陸でも化石が出るため、アケボノゾウの絶滅後、新たに日本に入ってきたものとされる。なお、トウヨウゾウは、牙の長いステゴドン的な形状に復元されることが多いが、見つかっているのは臼歯なのではっきりしたことは分からない。臼歯の大きさは、ミエゾウとアケボノゾウの中間くらいだそうだ。

 それにしても、なんとも目まぐるしい!

 もちろん、短くとも10万年単位で起きたことなので、リアルタイムで見れば「目まぐるしい」などという感想を持ちようもないわけだが。