「そのあと、日本列島が出来上がってから、かなり後になりますけど、260万年くらい前から氷河時代が来ますね。氷河期には、氷期と間氷期があって、氷期になると気温がガッと下がりますので、大陸に雪が積もっちゃって、海水準(海面)が下がるんですね。そうすると九州と朝鮮半島がくっついてしまう。あるいは東シナ海が陸化してしまう。大陸から新しい動物が入ってくる。ところが間氷期になると暖かくなって、また海水準が上がっちゃうので来なくなると。その繰り返しを過去200万年ぐらいやってるわけです。それにともなって、化石記録も変わってきます。生物進化というよりも、大陸とつながることでの変化。そういうのを見ていく、というのがもう1つの点です」

 数千万年、数百万年単位の長い話と、数十万年、数万年単位の比較的短い話が、折り重なっているのが日本哺乳類の化石記録をみる時に留意しておくべきことだと理解した。

 ただし、これらの間に、「知られざる一千万年」のような時期があって事態を難しくしているそうだ。

「今から1600万年前ぐらいから600万年前ぐらいの間って、ほとんど陸の哺乳類の化石記録がないんです。日本の哺乳類の歴史を考えようにも、そこはすごく難しいところで。日本列島がもっとバラバラにばらけちゃったような状態で、まず最初は大陸と同じような動物たちがいて、その後、島状態になって、どんどんその間に絶滅していくし、化石記録があまりないのでわからないと。ただ、その前の時期ですと、ゾウの一種、ゴンフォテリウムというのが岐阜県で見つかっています。その後、ステゴロフォドンというゾウの化石がわりとたくさん見つかってて、時系列の変化を追えるんです」

 ゴンフォテリウムというのは、約2300万年から2000万年前にアフリカで出現したゾウだ。現生のゾウと違う特徴として、キバが上あごと下あごの両方にある。オーストラリアと南極をのぞく全ての大陸に進出して、日本では岐阜県可児市から見つかっている。また、ステゴロフォドンは、宮城県船岡町で発見されたのが最初で、その後、1800万年前から1600万年前までの地層で見つかっている。

ステゴロフォドンの復元図。(「太古の哺乳類展」より)(画像クリックで拡大)