つくば市の国立科学博物館。(写真クリックで拡大)

 特別展の企画を担当した地学研究部の冨田幸光部長にお話を伺った。国立科学博物館は上野というイメージで、もちろんそれは正しいのだが、収蔵庫と研究室はつくば市にある。ガラス張りの植物園の隣の、やはりガラスを多用したモダンな建物だ。

 冨田さんは化石でみる生命進化の研究者なので、ウサギやビーバーやサーベルタイガーなど、研究室には実物やキャスト(模型)で様々な動物の骨があちこちに置いてあった。哺乳類の場合は特に「歯」がポイントになるので、歯の化石が多かった。

 さて、そんな中、冨田さんがまず語ってくださったのは、今の日本列島から発掘される化石というのはいかなるものなのか。今は日本列島になっているわけだが、そもそもこの形になったのはそう古い話ではないはずだ。

国立科学博物館の特別展「太古の哺乳類展」を企画した地学研究部部長の冨田幸光さん。(写真クリックで拡大)

「2500万年くらい前に日本海が開きはじめて、1500万年くらい前に日本列島になる島々が今の場所あたりに来たんですけど、それ以前は大陸の一部だったんです。離れてすぐに今の形になったんじゃなくて、大陸から離れつつちっちゃな島にバラバラにばらけちゃったような状態が続いて、だんだん日本列島ができていく。大陸から離れてから動物がどんなふうに変わったかっていうのが、ひとつの大きなテーマなんです。ただ、日本の哺乳類化石の歴史は、大陸から離れるずっと前、1億2000万年にも及ぶことは最近は分かっています。地理的な問題以前に、あるいはそれ以上に、時代の流れにともなう哺乳類の変化、つまり哺乳類全体の進化による変化を見ることがまず大事なんです」

 今の日本で発見される最古の哺乳類化石は1億2000万年前! それだけの時間をかけた大進化はひとつのテーマになる。日本における独自の哺乳類進化を見つつも、哺乳類全体の進化自体をたえず見わたさなければならないということだ。

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