第1回 日本に野生のゾウやサイがいた頃

 上野にある国立科学博物館では、毎年、夏休み前後の時期に特別展が開かれる。何度かに一度は、絶滅した動物についてのものだ。

 その中でもっとも人気があるのは、いわずとしれた恐竜。

「恐竜展」は日本の夏の風物詩ともいえ、国立科学博物館で開催されるものは最先端の恐竜学を垣間見せる高水準。とても人気がある。

 さて、2014年の夏の特別展も、絶滅動物にかかわるものだ。ただし、恐竜ではない。

 ぼくの観点からは、もっと興味深いものだと言える。なにしろ、時間的にも空間的にも身近な「日本で発掘された絶滅哺乳類化石」がテーマなのだから。

 では、どんな絶滅哺乳類がいたのか。

 今回の特別展のように一堂に会することはこれまでなかった豪華メンバーが揃っている。いわゆる巨大動物相(メガファウナ)が「日本」にもあって、ゾウやら、サイやら、オオツノジカやら、今の基準でいえばかなりの「大物」が闊歩(かっぽ)していたとか。

 想像してみよう。ちょっと郊外に出かけると、ゾウやオオツノジカなどが、ゆったりと歩き、食事をしている様子。動物園でもサファリパークでもない、野生動物として!

 そして、特別展では、ゾウについては、日本におけるすべての系統を網羅する。

 知名度としては、ナウマンゾウが全国区といえるが、ほかにも発見された場所では有名な「ご当地ゾウ」も多い。それらが、時間的にも何百万年もの間に散らばっており、今回、一堂に会したものを見ると、生命進化の不思議ともいえる現象も確認できる。