検証:エネルギー基本計画2 「不可避の原則」への2つの懸念

懸念その1:第2段階と第3段階が逆

 そもそも第二次電気事業法改正で電力市場の自由化を始めたのは、国際競争が激しくなるなかで、電気事業についても国際的に遜色のない水準まで電気料金を下げるためだった。

 これまでの法改正により自由化部門は大規模工場などの特別高圧部門(2万V以上)、中規模工場などの高圧部門(6千V~2万V)と拡大し、自由化部門は全体電力量の60%にまで進み、電力10社以外の新電力も自由に市場に参入することが可能になっている。

 自由化されていない規制部門は残すところ家庭などの低圧部門(100~200V)のみとなっており、これを電力システム改革で自由化することで全面自由化が達成されると言うわけだ。

電力市場自由化の動向。(出典:「電力小売市場の自由化について」経産省 平成25年10月)(画像クリックで拡大)

 新電力が新たに市場に参入したことで果たして電気料金は低減したのだろうか。

 これまでの自由化により地方公共団体では、電力10社のみから購入していた電力を新電力も含めた入札方式にすることでより安く購入する動きが定着している。

 例えば、東京都では落札者となった新電力と契約することで東京電力から電力を購入していた頃と比べ電力料金が6%以上も安くなったという事例が報告されている。

 しかし、その一方で、自由化部門における新電力のシェアはわずかに3.5%。全電力需要においては2.2%にとどまっており(※)自由化後10数年を経た現在においても、そのシェアは依然として小さい。

 新規事業者の参入が進んでいない理由にはいくつかあるが、1つの理由として、電力系統(電力網)が電力10社の独占体制にあるため、電力系統を持たない新電力には高額な送配電線利用料(託総料)や厳しいルールと重い罰則が課せられ、事実上の参入障壁になっていることが指摘されている。本来であれば、発送電分離を先に行い、電力系統を公共財として開放し、全ての事業者が公平な条件で電力系統を活用できる環境を整えてから、自由化を行えばこのような指摘は無かったであろう。

 電力システム改革においては、低圧部門の自由化を第2段階とし、発送伝分離を第3段階としているが、これまでの電力市場自由化の経験からわかるように、発送電分離を進めないまま市場自由化を行ってもその効果は十分に得られないことが懸念される。つまり、順序が逆なのだ。

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(※)「電力小売市場の自由化について」経済産業省資源エネルギー庁平成25年10月