検証:エネルギー基本計画2 「不可避の原則」への2つの懸念

(5)原発に大きく依存していたにもかかわらず原発が停止した場合のリスク(電力供給途絶、燃料コストの増加)をコントロールする体制が出来ていなかったこと。

(6)原発は過酷事故を引き起こすという大きなリスクがあるにもかかわらず、原子力施設の厳重な事故対策、事故災害予測と実行可能な避難計画の策定、風評被害を含めた事故賠償制度、そして放射性廃棄物の処理が整えられていなかったこと。

電力全面自由化と発送電分離の「電力システム改革」がカギを握る

 震災と原発事故により浮かび上がったこうした課題は日本のエネルギー需給構造が極めて脆弱であることを露呈させた。エネルギー基本計画に記されたエネルギー需給構造を改革するとは即ちこうした課題を克服することであり、具体的には連載4回で紹介した電力システム改革を推進していくことがなによりも欠かせず、エネルギー基本計画の中にもその重要性が記されている。

 連載4回で紹介したとおり、電力システム改革では、第1段階として「広域的運営推進機関」を2015年を目途に創設する予定だ。第2段階では2016年を目標に電気の小売業への参入を全面的に自由化し、第3段階となる2018年から2020年にかけては、法的分離方式による発電、送電、配電部門の分離を行い各部門の中立性を確保するとしている。

 電力システム改革はこのような3つの段階を経て日本のエネルギー需給構造の改革を図る計画であるが、既にこれについてもいくつか懸念される点がある。

 実は、電力市場自由化の取り組みは今に始まったことではなく、平成12年(2000年)の第二次電気事業法改正から進められているが、「新電力(※)」と呼ばれる新規事業者の参入は遅々として進んでいないのだ。

 そこで、これまでの電力市場自由化の問題点を検証しつつ、さらに電力システム改革の具体的な課題をみていきたい。

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(※)新電力(PPS)とは、既存の大手電力会社である一般電気事業者(電力10社)とは別の、特定規模電気事業者(PPS:Power Producer and Supplier) のことで、契約電力が50kW以上の需要家に対して、一般電気事業者が運用、維持する系統(電線)を通じて電力供給を行う事業者。