その食べ物を知ったのは、友人がFacebookに投稿した記事だった。仕事で赴いた先の国民食として紹介していたのだ。興味を持った私はさっそくインターネットで検索してみた。すると……。

 「見た目は雑巾、味はカビの生えた雑巾」
 「これを食べるのはこの国で最大の試練」
 「恐怖の体験だった」

 美味しいと評しているのはごくわずか(ちなみに、友人はその少数派の1人)。そもそも雑巾を食べたことがあるのか? とにかく、なんともひどい言われようではないか!

 俄然、興味が増した。しかし、東京近辺でこの国の料理が食べられる店が少ないうえ、作るのに手間がかかるようで常備しているところはほとんどない様子。そんなわけで、私はことあるごとに、「食べたい、食べたい」と言い続けてきた。そうしたら……言ってみるもんですね。今回、この食べ物を食べる機会に恵まれたのだ。

 場所は東京・世田谷区にある、東アフリカの国、エチオピア連邦民主共和国の大使公邸。ここである受賞パーティーが催され、エチオピア料理が振舞われるというので、お邪魔させていただいたのである。中に入るとパーティーはすでに始まっていたので、さっそくビュッフェスタイルで料理が並ぶほうへ向かうと、あった、あった。山のように積まれている。

 「これが、インジェラか!」

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