インタビュー:世界の食料の3分の1が廃棄されている理由

――どのようにして、それほど大量の食品が捨てられるのでしょう。

 まず、畑で捨てられます。
 食料品店、とくに大手スーパーは、生鮮食品の見栄えのよさに基準を設けています。つまり見栄えのよくないもの、基準を満たすことのできないものは、廃棄されてしまいます。畑から出荷さえされないものも非常に多いのです。

 工場でも、毎日あたりまえのように食品を捨てています。たとえばサンドイッチを作るとき、パンの耳が捨てられます。パイを作るなら、切り取られた余分な生地は廃棄されます。小売店では棚に必要以上に商品を並べて、物がふんだんにあるイメージを演出します。消費者がそれを求めていると思っているのでしょう。食品はクリスマスのデコレーションのように、店を飾り付ける道具なのです。

 そして消費者。裕福な国の人々は、食品を前もって買っておこうとします。食べものの価値を低くみているのかもしれません。だから、食べるかどうかもわからないものを買うのです。

――発展途上国でも食品が廃棄されているそうですが。

 飢餓がある国にも食品廃棄の問題は存在します。小規模農家の多くは、作物を確実に市場に届けるための、基本的なインフラに投資するだけの余裕がありません。インフラと言っても、ごくあたりまえのものです。たとえばアフリカの穀物貯蔵庫はあまりにお粗末で、穀物にカビが生えてしまうことがよくあります。低温殺菌や冷蔵の設備も、果物の出荷箱もなく、市場に日除けさえないことも珍しくありません。だから作物は厳しい日差しにさらされ、害獣や害虫に狙われて、結局は無駄になってしまうのです。

――食品廃棄を減らすために、政府がすべきことはなんでしょうか。

 食品廃棄の問題は政府の手助けなしでも解決できますが、政府が介入すれば大きな力にはなるでしょう。

 通常は規制を増やすよりも、緩和する方が有効に働きます。EUが食品の見栄えに関する基準を緩和したのは前進でした。欧州はアメリカに先駆け、過剰生産に対する農業補助金を削減する方向へ動いています。これらは規制緩和の成功例で、食品廃棄の削減に貢献しています。

 いっぽう、規制が功を奏した例もあります。ベルギーでは、スーパーに対し、余った食品は廃棄せず、すべて慈善団体に提供することを義務化する法律が導入されました。アメリカには「善きサマリア人法」と呼ばれる法律があります。これは食品を善意で寄付した企業を保護するもので、おかげで企業は訴訟を起こされる心配をせずに、積極的に食品を提供することができるのです。

――アメリカでは昨年、食品廃棄物の削減、復活、再利用への取り組みとして「食品廃棄物チャレンジ」が開始されましたが、どうお考えですか。

 こうした国主導による取り組みは、人々の啓発に大いに役立ちます。自分たちが出す食品廃棄物をしっかり管理すれば、出費も環境への負荷も減らせることを知ってもらうのです。

 トップダウンのやり方は非常に有効ではあります。しかし本当に必要なのは、大衆による革命、食品廃棄に対する反乱です。われわれ大衆が、食べものを捨てるのはもうごめんだと声を上げるべきなのです。

(文=Andrea Stone/訳=北村京子)