2008年まで坪井さんが1人でやっていたネリカの普及は、活動の拡大にともなって現在はほかに6名の日本の専門家が従事している。さらに、ウガンダ国内にいる15名ほどのJICAの青年海外協力隊員も、コミュニティー開発の一環としてネリカの栽培を現地の人たちに教える。「それだけ広げる価値のあるプロジェクト」なのだと坪井さんは言う。

「ウガンダでの成果が評価され、それまでほとんど稲作をしていなかったエチオピアから約300名が、スーダンからも200名が研修を受けに訪れ、学んだことを持ち帰って祖国で普及に努めています。ジブチは耕地面積がほとんどありませんが、近隣国に土地を借りて米をつくるといって研究者や政府の高官が研修にきました。CARD(アフリカ稲作振興のための共同体)への参加の有無と関係なく、アフリカ諸国の関心の高さが伺えます」

 水稲の輸出国であるエジプトは今後起こり得る水不足に備え、また、石油採掘の恩恵で主食の99%を輸入に頼っているギニアも、石油が枯渇したときのことを考えて関心を寄せているという。坪井さんがネリカの研修を行った国は15カ国以上。どの国も食料不足に対して危機感を持っているのだ。

 米はウガンダの人たちの生活に変化をもたらし、アフリカの多くの国で注目を集めている。今後、ネリカがアフリカの食料自給率を高め、2050年に予測される食料危機問題に貢献するためには何が必要なのだろうか。

マラウイ共和国へ巡回指導に行ったときのひとこま。(写真提供:坪井達史)(写真クリックで拡大)

つづく

中川明紀

(撮影:森山将人)

聞き手・文=中川明紀(なかがわ あき)

講談社で書籍、隔月誌、週刊誌の編集に携わったのち、2013年よりライターとして活動をスタート。インタビュー記事を中心に、雑誌や電子出版物で活躍している。Webナショジオでは連載「世界魂食紀行 ソウルフード巡礼の旅」を執筆。

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