ウガンダは赤道直下に位置するものの、海抜平均1100メートルという高地にあるため、1年を通して平均気温が23度と気候が穏やかで、降雨量も年間1200ミリと適度にある。ナイル川の最上流域にあたり、アフリカ最大の湖・ビクトリア湖にも面しているので、水が豊かで土地も肥沃だ。さらに、1986年のムセベニ政権発足後は政情も安定していて、サハラ以南の国の中では経済成長率が高い。

 こうして、坪井さんはネリカの技術支援を始めた。とはいえ、たった1人でのスタートであり、自身もネリカを本格的に栽培するのは初めてのこと。ネリカには陸稲も水稲もあり、改良がなされて品種は増えている。その中で、ウガンダの土壌に適した品種はどれか、いつ蒔くのが最も適しているのかなど、栽培技術を模索しながら教えていった。

「教え方にも工夫が必要でした。ウガンダは陸稲作の未経験者がほとんどで、栽培技術もないため、口で説明するだけでは伝わりません。幸い気候が安定しているので、時期を考えずに栽培することができます。そこで、いくつかの畑に少しずつ時期をずらして栽培し、種蒔きから収穫までの流れが一度で見られるようにしました。また、種を蒔く深さは3~4センチを奨励していますが、種蒔きの方法や雑草の処理によって生育状態に差が出ることを、写真を見せて説明します。そうやって一つひとつ教えていくのです」

 こうして研修を受けた農家に、坪井さんは1キロのネリカの種籾を渡している。もちろん、自分の畑でネリカを栽培してもらうためだが、そのときに行っているのが「倍返しシステム」だ。

「イネのよいところは籾、つまり食べる部分がそのまま種になることです。研修を終えた参加者に、1キロの種籾を200平方メートルの畑に蒔くように教えます。そうすれば約50キロの種籾が収穫できます。これは1ヘクタールの畑で栽培できる量です。そのなかから利息をつけて2キロの種籾を返してもらうのです」

 といっても、坪井さんのもとに返すわけではない。自分の周囲の農家に渡して、栽培してもらう。そうすることで、技術と栽培面積を同時に広げていくのだという。

農家と現地の普及員を対象にした研修(左)。難民向けにも行っている(右)。(写真提供:坪井達史)(写真クリックで拡大)

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