検証:「エネルギー基本計画」その1 日本の電力料金はなぜ高い

必要なのは徹底したコスト分析とコストカット

 報告書ではこの他にも日本が他国よりも高い人件費などの事例が報告されている。

 エネルギー基本計画の政策の原則に記されている経済効率性の向上とはすなわちコストをどのようにするかということだ。コストについては再エネ賦課金だけではなくこうした要因についても見ていくべきであり、なぜ高くなっているのかその原因を解明し、対策を講じなくてはならない。その過程においては電力10社による地域独占、大規模集中型発電、垂直統合、そして総括原価方式という体制下でコスト削減のためにどのような努力がされてきたのか分析する必要がある。

 本連載4回で紹介したように、日本はこれから電力システム改革という今までに経験したことのないネルギー需給構造の大改革を進めることになる。そのために再エネは新たなエネルギー構造を構築する電源として活用していかなければならない重要な要素だ。そうした再エネについては、当然FITの賦課金の抑制についても考えていかなければならないが、あたかもそれだけがコスト高の原因であるかのように取り上げて云々するのではなく、前述で示した燃料費や修繕費など電力料金を構成する全体として何がコスト高になっているのか徹底的に分析し、何処のコストを削減すれば再エネなど必要な要素を組み込んでも全体としてのコストを抑制できるかという視点が重要になってくる。

つづく

平沼光(ひらぬま ひかる)

1966年、東京都生まれ。東京財団研究員・政策プロデューサー。1990年、明治大学経営学部卒業後、日産自動車株式会社を経て、2000年、東京財団に入団。政策研究部で外交・安全保障、資源エネルギー分野のプロジェクトを担当。内閣府 日本学術会議 東日本大震災復興支援委員会 エネルギー供給問題検討分科会の委員も務める。JOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の地球深部探査船「ちきゅう」による世界初のメタンハイドレート海洋産出試験に際し、Webナショジオでは「世界初の快挙なるか! メタンハイドレート海洋産出試験」を連載。『日本は世界1位の金属資源大国』 (講談社+α新書)『日本は世界一の環境エネルギー大国』(講談社+α新書)『原発とレアアース』(共著、日本経済新聞出版社)などの著書がある。