第10回 鳴沢真也 正しい宇宙人の探し方~SETIの話(後編)

祝50周年、世界合同SETI

 さきほど紹介したマニュアルには、こうも書いてあります。宇宙人からの電波に違いないと確信した発見者は、たくさんの観測者になるべく早く通報して、観測の情報を共有しなさい、と。

 宇宙人からの電波はいつ見つかるかわからない。Xデーの到来に備えて一度、予行演習をする必要があるんではないかと私は思ったわけです。そこで、クマムシの堀川先生のお話にもあったアストロバイオロジーの国際会議に参加して、この予行演習を提案しました。2010年のことです。

 最初は日米だけで合同SETIの話を進めていましたが、その年はオズマ計画からちょうど50年、つまりSETI50周年でもあったので、お祝いの意味も含めて世界でやろうという話になりました。ふたを開けてみると5大陸15カ国29の機関が参加する一大プロジェクトに発展しました。

 そうして2010年の11月、生命が存在しうる「ハビタブル」な惑星を中心に7つの星をターゲットにすえて、世界各地の観測所が一斉に観測をしました。現在まだデータ解析中の施設もありますが、今のところこの観測から有意義なシグナルが見つかったという報告はありません。
 それでも、この合同SETIを実行できたこと自体が成果といっていいでしょう。最大の収穫は同志のメーリングリストが完成されたことです。おかげでその後も多国籍の合同SETIは続けられています。

近傍の星のテレビも受信できる! これからのSETI

 さて、SETIは今後どうなるのでしょう。実は南アフリカとオーストラリアにアンテナをバーッと敷き詰めるという計画があり、現在建設が始まっています。SKA計画といって、2024年ごろに観測が始まる予定です。

 2024年というと、前回の田村先生のお話にあった口径30メートルの望遠鏡TMTが完成し、「第2の地球」が見つかる、次にバイオマーカーが見つかるか、というようなタイミングです。

 SKAは、地球人最強の電波望遠鏡です。どのくらいの感度かというと、地球から一番近い恒星、ケンタウルス座アルファ星でもしテレビ放送をやっていたら、その電波が受信できるというくらいの感度があります。
 ただ、電波は受信できますけれど、テレビの放送自体を見ることはとても難しいので、受信料の心配はしなくても大丈夫です(笑)。

 ということで、最後にコッコーニさんとモリソンさんがネイチャーに書いた一番最後の文章を紹介して、私の話は終わりにします。

 成功の可能性を見積もることは難しい。
 しかし、観測をしなければ、成功のチャンスはゼロである。

 今でもこれは真理です。どうもありがとうございました。

鳴沢真也

鳴沢真也(なるさわ しんや)

兵庫県立大学西はりま天文台天文科学専門員。博士(理学)。1965年長野県生まれ。福島大学大学院修了。宮城県立高校の理科教諭を経て、兵庫県立西はりま天文台勤務。専門は天体物理学とSETI(地球外知的生命探査)。2005年に日本で最初の光学SETIを開始、2010年に世界合同SETIのプロジェクトリーダーを務める。著書に『宇宙人の探し方』(幻冬舎新書)、『ぼくが宇宙人をさがす理由』(旬報社)など。

※ この連載は、2013年12月に相模原市立博物館で開催された講演会『宇宙にいのちを探す』の各講演を再編集したものです。

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