第9回 鳴沢真也 正しい宇宙人の探し方~SETIの話(前編)

 1ギガヘルツより低い周波数だと、天の川銀河全体から来る連続した電波が邪魔になります。一方、10ギガヘルツよりも高い周波数になると、今度は地球上にある、水や酸素などの分子から出る電波が非常に邪魔になります。そのため1ギガから10ギガの間、マイクロ波と呼ばれている周波数が、宇宙から来る電波が非常に少ない、邪魔な雑音が少ないことになります。

 ただし、この周波数域も雑音はゼロにはなりません。宇宙は今から138億年前にビッグバンによって生まれたのですが、そのときの名残でやってくる電波があります。宇宙背景放射と言います。

 こうした雑音はありつつも、やはり宇宙通信をするには1ギガヘルツから10ギガヘルツあたりのマイクロ波が一番いいだろうというのが、先ほどのコッコーニとモリソンの論文なわけです。その中でもドンピシャリで「この周波数がいい」とまで言っているのですが、専門的になりますのでここでは省略します。

初めて観測した人

 コッコーニとモリソンは「こうやったらいい」と言っただけで終わってしまったのですけれど、実際に観測をした人が翌年現れます。

 ハーバード大学を卒業したばかりのフランク・ドレイクという男性です。彼は1960年に、アメリカの国立電波天文台にある口径26メートルの電波望遠鏡を使って知的生命探しを始めました。オズマ計画と言います。こうしてフランク・ドレイクの試みから始まった、地球外知的生命探しをSETIと呼んでいます。

 オズマ計画から50年以上がたちましたが、この間に100以上のSETIプロジェクトが先進国を中心に行われました。

 次回、後編ではSETIの現在をご紹介しましょう。

<後編につづきます>

1960年代に宇宙生物学の誕生に貢献した天文学者フランク・ドレイク(ナショナル ジオグラフィック日本版2014年7月号では地球外生命探査の最前線を美しいビジュアルとともに紹介しています。特集「宇宙生物学のいま」)(画像クリックで当該ページへ)
鳴沢真也

鳴沢真也(なるさわ しんや)

兵庫県立大学西はりま天文台天文科学専門員。博士(理学)。1965年長野県生まれ。福島大学大学院修了。宮城県立高校の理科教諭を経て、兵庫県立西はりま天文台勤務。専門は天体物理学とSETI(地球外知的生命探査)。2005年に日本で最初の光学SETIを開始、2010年に世界合同SETIのプロジェクトリーダーを務める。著書に『宇宙人の探し方』(幻冬舎新書)、『ぼくが宇宙人をさがす理由』(旬報社)など。

※ この連載は、2013年12月に相模原市立博物館で開催された講演会『宇宙にいのちを探す』の各講演を再編集したものです。