第1回 睡りの常識のウソを見抜く
今年、一般向けの「睡眠本」なるものを初めて上梓した。Webナショジオの「研究室に行ってみた。」シリーズで作家の川端裕人さんに取材していただいた内容をベースにした書籍だが、嬉しいことにAmazonランキングではなかなかの人気を博している。
それにしても、Amazonの書籍ジャンルに「病院・医者」「ヨガ」「食・栄養」などのいわゆる鉄板ネタに並んで、「睡眠」があることに感銘を受けた。実際、検索される書籍の数も多い。専門書ですら読む時間に事欠いているため睡眠本を手にする機会はほとんどなかったが、もしかしてブーム到来?
百聞は一見にしかずと、都内最大級の書店の健康本コーナーに向かうともの凄い数の睡眠本が並んでる! 見慣れた自著を探すのも大変である。「全然目立たない……、どうしたら選んでもらえるの?」オーディション会場でライバルの多さに圧倒されるうぶな女優の卵、といった心持ちである。ちなみに快眠グッズの売り上げも軒並み好調とか。さらにはグッズと書籍のコラボ企画まであり、これがまた人気である。ブーム到来どころではない、睡眠バブルの末期といった風情。完全に乗り遅れている。
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