世界有数の大洞窟の全貌を明かそうと、レーザー・スキャナーを携えて中国にやって来た探検隊。そこには想像を超える世界があった。

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中国 巨岩の帝国

世界有数の大洞窟の全貌を明かそうと、レーザー・スキャナーを携えて中国にやって来た探検隊。そこには想像を超える世界があった。

文=マッケンジー・ファンク/写真=カーステン・ペーター

 中国南東端、広西チワン族自治区。英国人の洞窟探検家アンディ・イービスが初めてこの地にやって来たのは、30年以上前のことだ。

 ここは、カルスト地形が世界で最も多く集中する土地だ。石灰岩などの軟らかい岩盤が何世紀にもわたって浸食で削られ、地表がえぐられて穴が開き、岩の塔や剣のようにとがった石が立ち並ぶ林、地下に流れ込む川などを造り出した。そして、緑豊かなこの山並みの地下には、まだ測量されたことのない巨大な洞窟がたくさんあるのだ。

 イービスが再び中国を訪れた理由もそこにあった。そして、今回持参したのが三次元(3D)スキャナーだ。1カ月で少なくとも3つの洞窟を探査し、史上初となるレーザー・スキャナーを使った精密な測量を行うのが目的だった。

最新鋭のスキャナーで洞窟を精密測量

 最初の測量地であるホンメイグイ洞穴の面積は、サッカー場8面ほどと推定されていた。2012年までの記録で比較すると、マレーシア、スペイン、オマーン、ベリーズ、さらに中国の別の洞窟に次いで8番目だ。だが容積ではどうだろう? 今回3Dスキャナーを使う狙いはそこにあった。
 洞窟はいずれも形が不ぞろいなので、どこが境目で、どこから次の洞窟が始まるのかは簡単には決められない。どの穴を洞窟と見なし、どの穴をただの通路と考えるのか? 洞窟の定義については、繰り返し議論されることがよくある。それが定まらない限り、順位をつけることなどできないからだ。

 測量点は17カ所。レーザー光を照射して反射光が戻ってくるまでの時間を計り、光の速度を基に距離を割り出す。リーグル社製のこのスキャナー「VZ-400」は、建設工事や土木工事、鉱山採掘に使われるが、洞窟探査では今回が初めてだ。

 ホンメイグイ洞穴でスキャナーが動き始めて3分後、画面に測量結果が映し出された。画像はモノクロで解像度も低いが、それでも目を見張るものだった。自分がいる場所を、ようやくこの目で見ることができたのだ。それは魂が体から抜け出たような経験だった。

※ナショナル ジオグラフィック2014年7月号から一部抜粋したものです。

編集者から

 本編は洞窟探査のお話がメインですが、電子版では命知らずのロッククライマーたちをフィーチャーした動画が見られます。ナショジオではこれまでも数々の岩登り特集をお送りしてきましたが、今回もすごい! 「そんな岩の先っちょで踊らないで~」「そこで手を放すんかい?」少々高所恐怖症の私には、到底理解できない世界がありました。ぜひご覧あれ。(編集H.O)

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