- JULY 2014 -

ナショナル ジオグラフィック協会 写真資料室から

安芸の宮島で芋を買う親子

 天秤棒を担いだ行商人から、洋装の紳士が芋を買っている。3人の子どもを連れて参詣する途中、小腹でも空いたのだろうか。瀬戸内海の厳島で撮影されたこの写真は「宮島で芋を買う」と題して、1923(大正12)年10月号に掲載された。


「安芸の宮島」とも呼ばれる厳島は、日本三景にも数えられる景勝地。海にそびえる大鳥居で有名な厳島神社は、1996年に世界遺産として登録された。ここでは島そのものが自然崇拝の対象として、古くから人々の信仰を集めてきた。島全体が神域とされたことから、死者は速やかに島外へ運ぶ、遺族は喪が明けるまで島に戻らない、出産前後の女性は島を出るなど、人の死や血のけがれを避ける数々の習わしがあったという。島には今でも墓地はなく、ただ一つの墓もない。

写真=JANE WATTS FISHER/NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE