国際的な絶滅危惧種となったウナギを救う、二つの「劇薬」

ウナギを救う二つの「劇薬」

シラスウナギ採捕量の推移(2002年までは漁業・養殖業生産統計年報による。2003年からは水産庁調べ)

 今年のシラスウナギの採捕量は、歴史的な低レベルを記録した昨年に比べて増えている。これを「豊漁」などと伝えたメディアもあるが、過去に比べて大幅に減少している中での小さな変動の範囲内で、依然として資源が深刻な状況にあることには変わりなく、好転の兆しなども見えてこない。多少なりとも回遊量が増えた時にこそ、漁獲量を減らして再生産に回すべきなのだが、残念ながらそうはなっていないようだ。
 極端に少なかったここ数年のシラスウナギが親になるころの資源量はさらに悪化することが懸念されている。

 極度に悪化した資源を回復させるためのシラスウナギの漁獲量の削減と不透明な取引の廃絶、薄利多売のウナギ商法の見直しと「安いウナギをたくさん食べたい」という消費者の意識の改革など、ウナギの危機を前に日本人がやらねばならないことは既に明白である。
 業界の自主的取り組み中心のこれまでの漁業規制では明らかに不十分だし、水産庁がここへ来て始めた関係国との協議が、早急な国際的な資源管理や国際取引の適正化につながるとも思えない。

 強制力を持った漁獲量の削減とワシントン条約による強制力のある国際取引の規制。ニホンウナギを絶滅から救い、次世代に適正なウナギ食を引き継ぐためには、この二つの「劇薬」が必要とされるまでになってしまったと言える。

井田 徹治(いだ てつじ)

共同通信社 編集委員。1983年に東京大学文学部を卒業し、共同通信社に入社。以降、環境と開発の問題を長く取材、気候変動に関する政府間パネル総会、ワシントン条約締約国会議、環境・開発サミット(ヨハネスブルク)、国際捕鯨委員会総会など多くの国際会議も取材している。著書に『サバがトロより高くなる日――危機に立つ世界の漁業資源』(講談社現代新書)、『ウナギ 地球環境を語る魚』(岩波新書)、『生物多様性とは何か』(岩波新書)など。