国際的な絶滅危惧種となったウナギを救う、二つの「劇薬」

恐れるべきは取引規制ではない

 IUCNは評価の中で、日本のウナギ漁、特に養殖原魚としてのシラスウナギ漁で、持続可能なレベルを超えた過剰漁獲が進んでいるとの国連食糧農業機関(FAO)の評価結果を引用し、過剰な漁獲が現在も続いていると指摘した。

親ウナギの漁獲規制が進んでいるが、いまだに天然ウナギを売り物とする店は少なくない。

 日本の関係者は、あらためて日本のウナギの乱獲と日本人の乱食に世界から厳しい目が向けられていることを認識すべきなのだが、今回のレッドリスト掲載に関する水産庁をはじめとする関係者の反応を見ていると、資源が危機的な状況にあることへの危機感よりも、ウナギがワシントン条約の規制対象となることへの懸念の方が先に立っているようにみえる。業界関係者からは「国際条約で規制されたらさらに品薄になり、やっていけなくなる」との声が頻繁に聞かれ、「水産庁はワシントン条約で取引規制対象とならないよう各国に理解を求める考えだ」などといった報道が目立った。

 だが、恐れるべきは、ワシントン条約の附属書掲載などではなく、ニホンウナギの乱獲が今でも続いていて、このままでは資源も産業もだめになるという点であるはずだ。ワシントン条約で規制されようがされまいが、このままではウナギは絶滅の道を歩み、ウナギが食べられなくなる日が迫ってくる。この点に関するメディアを含めた危機感の薄さには驚かされる。

 たとえワシントン条約の規制対象となっても直ちに国際取引すべてが規制される訳ではない。附属書2の対象種となると、輸出入に当たって関係国の許可証の発行を義務付けられるので、国際取引の監視態勢が強化され、取引の透明化につながる。ワシントン条約での規制は、横行する不透明なウナギの国際取引の適正化に貢献することになるだろう。

 ウナギがワシントン条約の規制対象となって困るのは、怪しげなウナギの国際取引に関与している業者や、そうと知りつつ輸入したウナギを買っている国内業者だけである。適正な手続きに従って、適正な規模の国際取引をしている業者にとって、ワシントン条約の規制対象となることはむしろ歓迎すべきことであるはずなのだが、業界からも水産庁からもワシントン条約の規制対象とすることを支持する声が聞かれないのが不思議でならない。

 ウナギ資源が危機的な状況にあることは10年以上前から研究者らによって指摘されていた。にもかかわらず行政の取り組みは遅れ、業界の自主的な取り組み任せを中心とした日本の対策が後手に回ったため、ニホンウナギはついに国際的な絶滅危惧種とされるまでになってしまった。