国際的な絶滅危惧種となったウナギを救う、二つの「劇薬」

ワシントン条約の規制基準はクリアー

 日本の環境省は昨年、日本版レッドリストでニホンウナギを絶滅危惧種としているが、IUCNのレッドリスト記載で、ニホンウナギの生息状況が分布域の東アジア全域で極度に悪化していることが明確にされた形だ。「ウナギの危機」が国際的に認知されたと言える。

 日本版レッドリストと同様、IUCNのリストも、絶滅の恐れがある生物に関する科学的な情報をまとめたデータブックであるので、漁獲規制や国際取引の制限などとは無関係である。だが、IUCNのレッドリストは各国政府が生物種保護のプライオリティを検討する上でのより所となるほか、絶滅の恐れがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約で規制対象とするかを検討する上での重要な科学的根拠となる。ワシントン条約の附属書掲載を検討する上での科学的な基準は、IUCNのレッドリスト掲載の基準とほぼ同じであるから、ニホンウナギは附属書掲載上の科学的な基準はほぼクリアーしたということになる。

 科学的基準のほかに、ワシントン条約の規制対象とするかどうかの大きな判断基準の一つは、その生物の生息に国際取引が影響を与えているか否かであるが、ニホンウナギの場合、日本の市場を目当てにした国際取引が乱獲の大きなドライバーとなっているので、この点でも附属書掲載の基準はクリアーしていると言える。

 今回は評価の結論が出なかったアメリカウナギに関しても、今秋のレッドリストの見直しで絶滅危惧種とされる可能性が高い。前回のワシントン条約締約国会議の際に、米国の環境保護団体がアメリカウナギを附属書に掲載し、ニホンウナギを含む他のウナギも「類似種」として規制するべきだとの提案を行ったが、次回2016年の会議でも、この種の意見が強まることが予想される。

 最大のウナギ漁業国であり、輸入国でもある日本がIUCNのレッドリスト掲載を機に、ニホンウナギの保護策や不透明な国際取引の規制策を真剣に検討しなければ、2016年に南アフリカで開かれるワシントン条約の締約国会議でニホンウナギの国際取引規制が現実味を帯びてくることになるだろう。