シリングのチームは、さび菌に耐性のある種子を作り、菌に感染しやすい中米の品種を、できるだけ多くこの新しい品種に植え替えることを目指している。最大の懸念は、外国の科学者が持ち込む遺伝子組み換え品種へ植え替えてもらうよう、農園主たちを説得できるかどうかだ。
遺伝子組み換え種子の導入には、中米各国からの助成金が必要になるだろう。また種子の適切な植え付けを徹底するには、NPOの協力も欠かせない。この計画は結果が出るまでに何シーズンもかかり、そのうち数年間は収穫がまったく見込めないことから、農園を離れて他の職を探す人々が出てくるのではないかと危惧する専門家も多い。
コロンビアコーヒー生産者連合会でマーケティングを担当するルイス・フェルナンド・サンペルは、木の植え替えをすれば、10年以内にさび病を根絶できると自信を見せる。それでもやはり、気まぐれな天候に振り回されて収穫量は変動するだろう。この先も難題が次々と降りかかることは間違いなさそうだ。
(文=Dan Stone/訳=北村京子)