中南米のコーヒー生産を脅かす「さび菌」と気候変動

 2014年はじめ、ブラジルは中米とはまるで逆の事態に直面した。史上最悪の干ばつだ。これにより、例年5500万袋という国内生産量の5分の1近くが失われた。世界のコーヒー価格は、1ポンドあたり1.2ドルから、2.2ドル近くまで値上がりした。スターバックスなどの大手コーヒーチェーンは、高騰した分の経費を自社負担とし、消費者価格への転嫁を控えている。

 そんな中、3月になって雨が降り始めたことから、ブラジルのコーヒー生産量は来年には5000万袋まで回復すると期待されている。しかし、これが実現したとしても、価格を安定させるにはまだ足りないと見られている。

遺伝子組み換えコーヒーという選択肢

 さび菌との闘いは、ブラジルの干ばつ問題よりもやっかいだ。

 コロンビアで発見された菌とは別系統に属する菌がグアテマラやニカラグアで発生するなど、さび菌は今も変異を続けている。大半の農園では、高価な殺菌剤をたっぷりと使っているが、新たな系統の菌に対する薬剤の有効性については、調査がほとんど進んでいない。

「さび病と闘うための薬も道具も、ここにはありません」。グアテマラでコーヒー農園を営むカルロス・トレビアルテは、2012年に行われた取材にそう答えている。その年、彼の農園では、30パーセントの減産が見込まれていた。

 そうした背景のもと、専門家らが推奨する解決策は、さび菌の攻撃に耐えうる新たな品種を作ることだ。「対策の中心となるのは、遺伝子組み換え技術です」と、テキサスA&M大学が進めている研究プログラムを指揮するティム・シリングは言う。

コーヒー豆を収穫するニカラグアの若者たち。例年、収穫期には農園から農園へ移動しながら働くが、さび菌の拡大につれ仕事は激減している。中米の一部地域では、さび菌が原因で年間40%の減産になったとの試算もある。(PHOTOGRAPH BY JANET JARMAN)