中南米のコーヒー生産を脅かす「さび菌」と気候変動

 コーヒー産業の不振が続けば、国の経済そのものが打撃を受けるため、中米各国の政府は危機感を抱いている。コーヒー生産者を支援する開発援助団体も、懸念を隠さない。失業した農民が増えることで貧困が拡大し、それが薬物取引などの新たな問題を引き起こすからだ。
 一方、コーヒー生産量はゼロに近いが消費量は最大の国、米国は、先ごろさび菌対策としてテキサスA&M大学のコーヒー研究プログラムに500万ドルの助成金を提供すると発表した。

雨にとても敏感な植物

 コーヒーは世界第3位の人気を誇る飲みものだが(1、2位は水とお茶)、その生産はきわめて不安定だ。雨が大量に降れば菌が増殖するし、雨が少なければ木が枯れてしまう。最近は特に、ある地域で雨が降りすぎる一方で、別の地域ではまるで降らないといった事態が重なり、コーヒーの生産はますます困難な作業となっている。

 中米のさび菌問題は、今に始まったことではない。この菌は1970年代以降、一帯をたびたび襲ってきた。そのたびさび菌は変異を繰り返すため、根絶に向けた取り組みは困難をきわめている。

 2008年にコロンビアを襲ったさび菌は、農園から農園へと次々に広がった。同国のコーヒー生産量はわずか1年で1200万袋から700万袋まで減少し、コロンビア経済を失速させた。中にはコーヒー豆を一粒も収穫できなかった農園もあり、その多くが農地の広さが1ヘクタールに満たない小規模農園だった。

グアテマラでコーヒーを生産するルイス・マヌエル・アントニオ(左端)は、自分のささやかな農園がさび菌に襲われた。収穫は減り、マヌエルも妻もストレスと不安にさいなまれている。別の地域では、収入の減少から栄養失調になる子どもたちが増えている。(PHOTOGRAPH BY JANET JARMAN)