スティーブからの無線で、急遽オオカミの罠を仕掛けに行くことになった私たちは、森の避難テントが雪で倒れていなか確認しに行く予定を一日延ばすことになった。

 今夜のうちに罠の準備をして、明日には仕掛けに行く。

 トーニャにとっても初めてのようで、スティーブに来てもらっていろいろと教わることになった。

 まずは罠の用意である。

 なにせ初めてなので、トーニャも罠類がどこにあるのか分からない。

 3つある倉庫を手分けして探して、ようやく、ずいぶんと使っていないような道具が山積にされている奥から、ワイヤーの輪っかの束を発見した。

 直径60センチほどの、オオカミ猟のために使われる締め罠(スネアー)だ。

 動物の罠というと、鉄の鋭い歯がぱっくりと口を開いていて、そこに足を踏み入れるとガチャンと挟まれるトラバサミのことを想像するが、今回使うスネアーというのは、ワイヤーの輪の中に首が入ると、キュッと締まって、どこにも行けなくなってしまう仕組みである。

 いわゆるカウボーイの投げ縄がワイヤーになったようなものだ。

 実はトラバサミは、あまりにも残酷な方法であることから、世界各国、日本においても禁止されている罠の1つである。

 アメリカでは、特に規制が無いために、今も使っている人がいるかもしれないが、アラスカにおいては、毛皮に暴れ傷を付けたくないという理由もあって、スネアーの方が特に選ばれているという。

 とは言っても、やはり罠は罠である。

 動物に、痛みと苦しみと不安と、死を与える行為なのだ。

 そう思うと、なんだか複雑な気持ちだった……。

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