――最後に、林さんが思う「写真の力」とは何ですか。

 写真は一瞬を切り取ったもの。ふだんの暮らしのなかではともすれば見逃してしまうような一瞬を、後で長い時間をかけて見ることができます。そのため、被写体となった人の視線や直面している現実を、写真を見る人にじっくり考えてもらえる機会をつくりだせる媒体だと思っています。
 
 写真展などで、写真の前で足を止めて時間をかけて見てくださる方の姿に接するときに、それを実感します。

 それと、写真や国際問題に全く興味のなかったという若い世代の人たちから、写真についての長い感想をもらったときなども同じように感じたし、嬉しかったですね。

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(おわり)

林典子(はやし のりこ)

1983年生まれ。大学在学中に、西アフリカ・ガンビアの地元新聞社、ザ・ポイント紙で写真を撮りはじめる。「ニュースにならない人々の物語」を国内外で取材。ナショナル ジオグラフィック日本版で、2012年9月号「失われたロマの町」、2013年7月号「キルギス 誘拐婚の現実」を発表。キルギスの誘拐結婚の写真は世界的に広く注目され、フランスの報道写真祭の特集部門で最高賞、全米報道写真家協会フォトジャーナリズム大賞の現代社会問題組写真部門で1位を受賞。その他、米ワシントン・ポスト紙、独デア・シュピーゲル誌、仏ル・モンド紙、デイズ・ジャパン誌、米ニューズウィーク、マリ・クレール誌(英国版、ロシア版)など、数々のメディアで作品を発表。著書に「フォト・ドキュメンタリー 人間の尊厳 ―― いま、この世界の片隅で」(岩波新書)。


高橋盛男(たかはし もりお)

1957年、新潟県生まれ。フリーランスライター。自動車専門誌の編集を手がけたのちフリーライターに。JR東日本新幹線車内誌「トランヴェール」、プレジデント社「プレジデント」「プレジデントファミリー」などに執筆。

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