――実際に介入した場面もあったのですか。

 一度ありました。18歳の少女、アイティレックのケースです。

 彼女は、誘拐されてすぐに結婚を受け入れたのですが、その後の結婚生活がどんな様子かと再訪したら「もう、こんなところにはいたくない」と泣き出したのです。彼女は夫に暴力をふるわれ、勝手に家を離れることもできない状況にありました。

 すぐに彼女を家から連れ出すのは危険だと通訳が言うので、私たちは彼女を残して街に戻り、女性の人権問題に取り組むNGOの事務所に駆け込みました。

 NGOから現地の警察にも連絡してもらい、救出に向かうことにはなったのですが、突然に大雪が降りだし、救出は延期になってしまいました。帰国してから、そのときの通訳や運転手にその後を尋ねると、アイティレックは協議のうえ夫と別れたと言ってました。私は今年もキルギスに行き、2012年に取材した女性たちを再訪したのですが、彼女にだけは会うことができませんでした。

――誘拐結婚は法律で禁じられ、罰則も厳しくなったという話がありましたが、女性の人権を軽視したそのような結婚のスタイルは、これからもなくならないのでしょうか。

アイティレックと夫のバクティエル。バクティエルに好意を抱いていたアイティレックは、誘拐直後に結婚を承諾していたが、携帯電話も通じない牧草地に連れて行かれるとは考えもしなかった(撮影:林典子)

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