最初は村々を訪ねて誘拐結婚した女性に話を聞いて回っていました。そうするうちに「これから誘拐を考えている男がいる」という話が舞い込んできたりするんです。キルギスには2012年の夏から冬まで、5カ月ほど滞在したのですが、その間に何度か誘拐の場面に遭遇しています。

――誘拐した女性を村に連れてくると、家族総出で説得にあたるんですね。

 ええ、何時間もかけて。隣の部屋では結婚式の支度が整えられていて、説得の間にパーティーが始まっていたりもします。

――それでたいていの女性は折れてしまう。

 誘拐された女性の8割方は、結婚を受け入れてしまうといわれています。

 しかし、そうならないケースもあります。私が最初に誘拐に遭遇したのは、現地に入って2カ月後ですが、そのとき村に連れてこられた女子大生、ファリーダは兄が助けに来て、誘拐の10時間後に連れ戻されました。

 女性が結婚を拒み続けたら、帰さなければならないというのも慣習としてあるのですが、実家に戻れるのはごくまれなことのようです。

誘拐した男性の自宅に連れてこられた20歳の大学生、ファリーダ(撮影:林典子)

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