世界報道写真展2014に行ってみた
東京・恵比寿の東京都写真美術館で、今年も始まりました「世界報道写真展2014」。
毎年、ナショナル ジオグラフィック誌に掲載された作品が複数選ばれているのですが、今年は最高位の大賞(グランプリ)を含め5作品が入賞したというではありませんか。
さっそく行ってまいりました。
世界報道写真展は、1955年にオランダで世界報道写真財団が発足したのを機に、翌年から始まったドキュメンタリー、報道写真の展覧会。前年に撮影された作品を対象に、毎年交代する国際審査員団が入賞作品を選びます。今年の選考には、5754人のプロの写真家から、9万8671点の応募があったそうです。
その狭き門をくぐり抜けて今回選ばれたのは53人の写真家の作品。
大賞に輝いたのは、この写真でした。
2013年12月号「人類の旅路を歩く」 詳しくはこちら
ナショナル ジオグラフィック2013年12月号の特集「人類の旅路を歩く」に掲載された写真家ジョン・スタンマイヤーの作品です。アフリカ北東の国ジブチの海岸で、隣国ソマリアの安価な回線を使って、外国にいる親族に電話しようとする出稼ぎ労働者を撮影しました。
「え? これが大賞?」と思われましたか。
「確かに一見しただけではわかりにくい写真ですが」と、今回の国際審査員団の一人として審査に当たった『ニューズウィーク日本版』フォトディレクターの片岡英子さんは言います。「長い時間をかけて対話のできる写真です。貧困やグローバリゼーション、テクノロジーの中での孤独といった、いろんなテーマと物語が見えてくる。キャプション以上に写真を読むことができる、個人的にもとても好きな作品です」
この写真は、人類拡散の旅をたどるナショナル ジオグラフィックの特集企画の第1回アフリカ編のために撮影されました。ピュリツァー賞ジャーナリストのポール・サロペックが、アフリカで人類が誕生し、世界へ拡散していった旅路をたどって3万3000キロを7年がかりで踏破し、逐次ナショジオ誌で報告していきます。ジャーナリストと写真家それぞれの視点が見えて、とても面白い企画ですのご期待ください。第2回は近く掲載の予定です。
続いて、ナショナル ジオグラフィック発の受賞作品を一気に紹介いたしましょう。
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