2003年に来日したマルコさん。フェイジョンなど、ブラジルの家庭料理の味を日本で広めたいとロデイオグリルを開いたという

 「ああ、フェイジョンですね! ブラジル人は毎日食べますよ」

 そう話すマルコさん。ブラジルでは“豆”という意味を持つ言葉だそうだが、ブラジル人に欠かせないフェイジョンとはいったいどんな料理なのだろうか。「豆を煮込んだ料理なんです。ブラジル人の主食はお米ですが、白いごはんのときは必ずフェイジョンと一緒に食べるんですよ」とマルコさん。イベントにいた人が「日本の味噌汁のような感覚だ」と話していたな。それを言うとマルコさんも「そうですね」とうなずいてから、「うちは日系なので和食もよく食べましたが、その時もフェイジョンはありました。味噌汁とフェイジョンを両方食べるんです」と笑う。

 ブラジル人はフェイジョンがないと食事をした気にならないらしい。それほどに愛されている。しかし、豆の煮物なら日本にもある。甘い煮豆が一般的だが、ブラジルの煮豆はどのような味なのだろう。そう思ってひとつ注文すると、マルコさんはごはんと一緒に持ってきてくれた。

 茶色い煮汁の中にたっぷりの豆。インゲン豆の一種のカリオカ豆を使っていて、日本の煮豆より汁がやや多いものの、見た目はそう変わらない。だが、食べ方が違った。看板娘の立花フェルナンダさんが、「こうやって食べます」と言って、ご飯にフェイジョンをかけたのだ。「ひたひたになるまでかけて、ご飯が茶色に変わるくらいよく混ぜてから食べるんです」

 ご飯と煮豆のフュージョン。甘そうだなあ、お汁粉だと思えばいいのかなあ、といろいろ考えながらパクッと一口。あま……くはない。もちろん、豆の甘みはあるし、舌触りもまろやかだが、味付けは塩ベース。細かく刻んだベーコンと玉ねぎが入っていて、ニンニクもけっこうきいている。それらをじっくり煮込んだ素朴な味わい。なるほど、これならご飯に混ぜてもよくなじむ。

 「店では日本のお米を使っていますが、ブラジルはインディカ米。オリーブ油やニンニクを入れて炊きますが、パラパラとしているので汁物によく合うんです。朝はパンを食べるので、フェイジョンは昼か夜。これにサラダとお肉料理が、ブラジルの一般的な食事ですね」とマルコさんが教えてくれた。

フェイジョンの基本的なつくり方は、乾燥豆を水でもどしてやわらかくなるまで煮込み、そこに炒めた玉ネギ、ニンニク、ベーコンのみじん切り、ローリエを入れて、塩で味付けしてさらに煮込む。豆の名前「カリオカ」には「白い家」と言う意味があり、またリオデジャネイロの別称でもあるという

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