開発が進む人造肉、地産地消で支持は得られるか

シャーレで培養された肉。(PHOTOGRAPH BY DAVID PARRY, PA WIRE/AP)

 同じくミズーリ州の新興企業モダン・メドウ社は、人間の臓器を再生するために開発された医療技術を使って、動物の筋細胞から肉を培養する試みを始めている。この方法は、地上の畜産の替わりになることはもちろんだが、同社が市場として見据えているのは、長期の宇宙ミッションだ(宇宙に家畜を育てる場所はないだろう)。

「培養肉は、食肉がこれまで到達したことのない世界を切り開きます」
 同社のウェブサイトにはそんなコピーが踊る。モダン・メドウ社には、ペイパル社の共同創業者であるピーター・ティールも資金を提供している。

 グーグル社の共同創業者サーゲイ・ブリンが支援するのは、また別の事業だ。昨年公開された動画の中で、ブリンは自分がなぜ世界初の培養牛肉ハンバーガーに出資したのか、その理由を説明している。このハンバーガーは昨年夏、オランダ、マーストリヒト大学のマルク・ポストが幹細胞を元に作ったものだ。

「ときとして、新しい技術が登場し、それが我々の世界に対する認識をすっかり変えてしまう力を持っていることがあります」
 グーグル・グラスをかけたブリンは、カメラをじっと見つめてそう語る。培養肉バーガーの制作には30万ドル以上の費用がかかった。「口当たりはいいのですが、味は改善の余地があります」とポストは言う。彼はいまも、バーガーに脂肪を添加する方法を模索している。

 ポストの長期的な目標は、培養肉ステーキを作ることだ。しかしこの課題は、筋繊維を大量に培養し、それをまとめてハンバーグにする作業よりもはるかに難しい。「血管状の構造のほか複雑な組織をつくり、肉の内層まで栄養分を届ける必要があります。多様な細胞や生体材料をいっせいに、正しい配置で集めなければならないのです」と、ポストは電子メールで回答した。

 一方、工場式の畜産に批判的な人々のなかには、培養肉を解決策とすることに懐疑的な人もいる。食品問題の活動家ダニエル・ニーレンバーグは、「強烈な嫌悪感」にはばまれて、「培養皿生まれの肉」の普及は進まないだろうと考えている。

「数年前まで豆腐さえ食べようとしなかった人たちが、研究室生まれの肉を食べるでしょうか?」 ニーレンバーグらは、これからはある程度、昔に回帰する必要があると主張する。昔と同じ程度まで肉を食べる量を減らし、家畜は仕切られた囲いの中ではなく、農場でゆったりと育てるのがよいという。