「アメリカでは科学的根拠に基づき、資源を管理し、減少をくいとめようとしました。現在も総漁獲可能量は2万トン(2014年)と非常に厳しく制限して、それを漁業者が守っています。いっぽう、日本は事実上管理をせずに漁を続けました。現在、自然環境の変化でイワシの漁獲量が13.4万トン(2012年)まで戻ったので増えたなどと言って喜んでいますが、ピーク時を考えたら、禁漁すべき状況なのです」

 なぜ、同じ漁業大国であるにもかかわらず、このような差が生じているのだろうか。そこには「資源の管理方法の誤りがある」と小松正之さんは言う。では、具体的にどのようなことなのか。

「資源管理の基本はTAC制度にあります。TACとはtotal allowable catch、つまり総漁獲可能量のことです。これは研究者が科学的な根拠に基づいて生物学的許容漁獲量(ABC=Allowable Biological Catch)を算出し、そこに行政が社会経済学的な要因を考慮して漁獲の制限量を定めるというもの。TACを超えないように漁をすることで、資源の保全を図ろうという考え方で、漁業先進国はどこもこの制度を利用しています」

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