「サウナに火をつけた。オレは5時ごろに入る。その後使えばいい。湖に飛び込むんだ。気持ちいいぞ!」

 いつものように昼ごはんを終え、キャッスルの中で作業をしていると、ウィルが現れて、ぼくにそう告げました。

 ウィルの髪や服に、おがくずがたくさんついているところをみると、さっきまで下の木工ショップで、作業をしていたのでしょう。

 ぼくもホームステッドに来てからというもの、タオルで体を拭いたぐらいで、シャワーを浴びていません。

 そろそろ体をきれいにしたいと思っていたところだったので、ちょうどいいタイミングでした。

ミネソタ州イリーの郊外で、ハイキングトレイルの高台から湖を望む。ジャックパインの木立の向こうで、太陽がゆっくりと沈んでいく。(写真クリックで拡大)

 サウナは、フィンランドに起源を発するといわれる入浴方法ですが、じつはここ、イリーの町の周辺でも特に人気があります。

 というのも、イリーの位置するミネソタ州北部には、メサビ鉄山に代表される世界的な鉄の産地があり、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フィンランドからの移民たちが働き口を求めて、大量にやってきたのです。

 それ以来、フィンランド系移民たちの村がこのあたりにいくつも作られ、彼らの文化が根付いていきました。

 仕事が直接のきっかけではありましたが、森と湖が織りなす風景や北国特有の気候が、スオミと呼ばれる故郷によく似ていたことが、多くのフィンランド人たちをこの地方に惹きつけた大きな理由でした。

 そんなわけで、フィンランド文化に欠かせないサウナは、イリーでもとても身近な存在となり、実際、その後知り合ったイリーの友人宅には、サウナを備えている家が多くありました。

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