北大西洋にすむニシツノメドリ(パフィン)。何カ月も海のかなたへ姿を消すが、春の繁殖期には陸地に戻り、そのおどけた顔で人々の心を和ませる。

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癒やしの鳥 パフィン

北大西洋にすむニシツノメドリ(パフィン)。何カ月も海のかなたへ姿を消すが、春の繁殖期には陸地に戻り、そのおどけた顔で人々の心を和ませる。

文=トム・オニール/写真=ダニー・グリーン

 せわしなく羽ばたく翼、黒と白に塗り分けられた体、オレンジ色に輝くやたらと大きなくちばし。4月初旬、おどけた顔のニシツノメドリが北大西洋の沿岸に飛来すると、何カ月も静寂に包まれていた崖の上がにわかに活気づく。

 英語でアトランティック・パフィンと呼ばれるこの鳥は、4種いるパフィンの仲間のなかで最も体が小さく、体高20センチほど。繁殖の季節を迎えると、険しく切り立つ島々や海岸に一団となってやって来る。
 それ以外の季節、彼らがどこでどのように過ごしているのかは知られていない。広大な北の海のどこかで、ほとんど人目に触れることなく単独で飛び、食べ、海面に浮いているのだろう。

小さな海鳥たちの不思議なセラピー効果

 この海鳥が上陸するのは、繁殖のときだけ。この時期、彼らは“衣替え”をする。くちばしが色鮮やかになり、灰色だった顔が白くなり、目元には歌舞伎役者のくまどりを思わせる模様がくっきりと現れるのだ。そして社交的になり、求愛し、交尾し、取っ組み合う。

 飛来する鳥の数は営巣地によってさまざまだ。米国メーン州なら数百組、アイスランドなら数万組のつがいが集まる。総数2000万羽と推定されるニシツノメドリの約1割が集まる英国やアイルランドは、とりわけ重要な繁殖地となっている。

 ニシツノメドリの集団は、おおむね穏和で物静かだ。長年禁猟になっているブリテン諸島では、鳥たちは驚くほど無防備で、人が簡単に近寄れる。バードウォッチャーたちをスコットランドのトレシュニシュ諸島に案内しているイアン・モリソンは、いつもこう感じている。
「ニシツノメドリと触れ合うと、人々は癒やされるようです。私はこれを“パフィン・セラピー”と呼んでいます」

 だがここ10年ほど、鳥の数が減っている。アイスランドやノルウェーの一部では、ひながほとんど生まれない年もあった。彼らの好物であるイカナゴやニシンなどの小魚が減り、大きさも小ぶりになっている。研究者のマイク・ハリスは、こう断言する。
「ニシツノメドリがひなを育てる環境が悪化しているのです」

※ナショナル ジオグラフィック2014年6月号から一部抜粋したものです。

編集者から

 上野動物園の人気者で、大手飲料メーカーのCMキャラクター、そしてスマートフォンのブラウザー――。鳥好きのあいだでは有名な海鳥パフィンは、いろんなところに姿を現します。しかし生涯の大部分を海上で過ごすため、野生の生態はまだよくわかっていません。繁殖の季節だけ陸上に飛来して、私たちを和ませてくれます。特集では、繁殖期に飛び回り、巣作りをし、ケンカする姿をとらえました。その強烈なビジュアルと、ユーモラスな仕草をお楽しみください。(編集N.O)

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