家族農家が温暖化時代の農業のカギを握る

ペルー、パンパラクタの畑でジャガイモを収穫する家族農家(写真:Jim Richardson /National Geographic)

グアテマラの農法にヒント

 元米農務長官のダン・グリックマンは中米グアテマラで、こうした農業生態学的な手法を視察した。トウモロコシや豆類だけを栽培していた畑でほかの野菜も栽培することで生物多様性を確保したり、コーヒーと別の作物とを輪作することで被害をもたらす菌類の発生を抑えるといった農法だ。マンゴーやプランテン(料理用バナナ)の栽培では点滴灌漑も進めていたという。

 グリックマンは、ナショナル ジオグラフィック協会が主催した「食の未来」フォーラムでこう語った。「グアテマラの農家がいま必要としているのは、肥料と良質な種です。遺伝子組み換え作物は必要としていません」

 遺伝子組み換え作物は、収量を増やすことだけを追求してきた大規模農業の産物だ。FAOによると、植物の遺伝的多様性が過去100年の間に約75%も消滅した原因は、化学肥料や農薬、遺伝子組み換え種子を大量使用してきた大規模な単一栽培農業にあるという。

 フードタンクは、持続不可能な農業技術によって、世界の耕作地の30%で土壌の養分が枯渇し、生産性が低下していると指摘する。しかしその一方で、その土地原産の作物をいろいろ栽培している家族農家の収量は、単一品種だけを栽培する農家より20~60%も多いとする。

 さらに言えば、トウモロコシや小麦、大豆や米などに比べて、主に小規模農家で栽培されるキビ、モロコシ(ソルガム) 、そして近年注目されているキヌアなど「忘れられた穀物」は、水が不足しがちな土地でも育ち、病気にも強い。
「これらの作物は“貧者の食べ物”と揶揄され、“雑草”とまで言われることもある。だが、気候変動の影響に対する抵抗力に優れた食料なのです」とフードタンク代表のダニエル・ニーレンバーグは話す。