学校帰りにフリッツを買って食べるベルギーの少年たち。ベルギー北西部のブルージュにはフリッツの歴史や調理法などを紹介するフリッツ博物館もあるそうだ(提供:ベルギーワロン地域政府貿易・外国投資振興庁)

 「私は学校帰りに友だちと一緒によく食べました」というのはクレールさん。「ベルギーにはどんなに小さな村でも、必ず1軒はフリッツのお店があるんです。学校帰りにお腹がすくとフリッツ屋さんに寄るのは決まりのようなもの。揚げたてなので、冬はとくによく食べました。いまでも1パックで2.5ユーロほどなので学生でも気軽に買えるんです」

 身近でありながら特別感もあるということか。しかし、フライドポテトは日本でもスタンダードな食べ物である。そう話すと、「まったく違うものです!」とクレールさんの力強いお答え。「日本のフライドポテトは細くてやわらかいのが多い。味も薄いので食べた気がしません。フリッツは太くて身がしっかりしていて、ジャガイモの味も濃厚。周りはカリカリで……ああ、考えただけで食べたくなってきました」

 そんな話を聞いたら、私だって食べたくなる。でも先ほどのブースではフリッツを出していなかった。そこで東京渋谷区の広尾にあるフライドポテトの専門店でベルギーのフリッツが食べられることを教えてもらい、日を改めて出かけることにした。

 昨年の12月にオープンした広尾の専門店「アンド・ザ・フリット(AND THE FRIET)」は、平日でも日中は1時間待ちという人気ぶり。ならばと開店時刻に行ったが、すでに数人の客が列をつくっていた。また行列だと急いで並んで、ひとつ購入する。確かに、某ファストフードのような細いポテトではなく、太さが1センチ四方ほどあってずっしりと重い。揚げたてなので、やけどしないように気をつけて口に入れた。

 カリッとした外側に反して、中はホクホク。塩気も強くなくて素朴だが、そのぶんジャガイモのまろやかな甘みがしっかりと感じられる。自然のうま味がとてもよく出ているのだ。クレールさんの言うことがわかった気がする。

 「ベルギーでは12ミリの太さが基本です」

ベルギーのジャガイモで、ビンチェという品種のフリッツと自家製マヨネーズの組み合わせは「アンド・ザ・フリット」の一番人気。マヨネーズはシードルビネガーの酸味がさっぱりとしていて、ビンチェの甘みを引き立てる
アンド・ザ・フリットではベルギーのつくり方を踏襲しているが、ジャガイモはベルギー産や日本産など6種類あり、好みで選ぶことができる。また、ディップも常時10種類が揃っている

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る