なんと、てっきりアメリカの食べ方だと思っていた。いや、「フレンチフライ」とも言うからフランスか……とにかく、ベルギーとは意外だ。詳しい歴史については「ミディベル」というジャガイモ加工会社の営業部長、ノエル・ベルゲンストさんが教えてくれた。

 「一説によると、フリッツの発祥は17世紀後半。ベルギー南部のワロン地域にあるナミュールという都市の周辺では、街を流れるムーズ川で小魚を獲って油で揚げて食べていました。しかし、ある寒い冬、ムーズ川が凍って漁ができなくなってしまった。そこで、ジャガイモを小魚のかたちのように細長く切って揚げたらとても美味しくて、食べられるようになったと言われています」

 ジャガイモは16世紀に南米からヨーロッパに渡来した。栄養価が高く、寒冷で痩せた土地でも育つことから、ヨーロッパでは凶作による飢えをしのぐ食べ物として広まった。保存がきくので、冬はとくに重宝されたようだ。フリッツは食料が乏しい中で人びとが生み出した、とっておきのアイデア料理だったということか。

ノエルさんはフーデックスのために来日。ミディベルはベルギー国内3位のジャガイモ加工商品の会社で、世界130ヵ国に輸出。日本には1年ほど前から輸出している

 「小さい頃はフリッツを食べるのが楽しみでした。切って揚げるのが手間なこともあって、食卓に出るのは週に1回くらい。だから、フリッツが出るとお祝いの日のようにうれしかったなあ」とノエルさん。いまは、オーブンでもつくれる冷凍商品があるので週に5回くらい食べているそうだ。「いくら何でも食べ過ぎでは?」と言うと、ノエルさんは笑って答えた。

 「それが、とても健康なんですよ。だから心配していません。私が生まれた村には、毎日フリッツを食べている95歳のおじいさんがいました。彼は95歳とは思えないほど元気いっぱいで、周りにはいっつも若い女の子がいるんです。私は週に5回だから、まだまだ足りないくらいですよ(笑)」

 95歳にして現役とは……フリッツパワー恐るべし。

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