最後にもう一つ。今、火星ではNASAが送り込んだ「キュリオシティ」という名前の大きな探査車が動き回っています。キュリオシティはいろんな研究、調査をしているんですが、その中の1つに、土を掘って分析するということがあります。

初めて火星の土を採取した後、自らの姿を撮影する探査車キュリオシティ。(ナショナル ジオグラフィック日本版2013年7月号「探査車が見た火星」より)(画像クリックで当該ページへ)

 どうやって分析するかというと、探査車内に備えた装置の中で、採取した土の温度をどんどん上げていきます。400℃、600℃と上げていくと、次々にいろんなガスが出てくるんですね。そうすると、間接的ですが土の中にどんな物質があるかがわかるのです。

 主に水や二酸化炭素、酸素などが出てくるのですが、そのなかにSO2=二酸化硫黄が見つかった。これは微生物の餌になります。それに、これもつい先日わかったことですが、火星の別の場所で硫化水素が出ているというデータが出ています。これも微生物にとってはとてもおいしい餌ですね。

 ということで、微生物の餌になるものが全部出そろいました。酸素はほとんどありませんが、火星が赤いのは全部酸化鉄ですので、酸素のかわりもあるということです。

 そこでいよいよ微生物探しとなります。

<後編につづきます>

山岸明彦

山岸明彦(やまぎし あきひこ)

東京薬科大学分子生命科学科教授。1953年福井県生まれ。1981年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。極限環境の生命や、生命の初期進化について研究している。理学博士。編著書に『アストロバイオロジー: 宇宙に生命の起源を求めて』(化学同人)など。

※ この連載は、2013年12月に相模原市立博物館で開催された講演会『宇宙にいのちを探す』の各講演を再編集したものです。

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