今回の話題は火星での生命探査。NASAをはじめ欧米の宇宙機関が着々と火星探査を進めていますが、日本からも生命初期進化の第一人者が「火星での生命探し」に名乗りを上げました。山岸明彦先生にお話をうかがいましょう(編集部)

 東京薬科大学の山岸といいます。極限環境に生きる生物について、なぜそんなところで生きているのか、どうやって生きているのか、といったことを研究しています。今日は「日本の火星生命探査計画」についてお話します。

 この計画は、英語でJapan Astrobiology Mars Projectと呼んでいて、火星での宇宙生物学の計画を日本人たちでやろうじゃないかという意味です。2020年代くらいに火星に探査車を送り込み、生命を探すことができないか、その目的や手法を含めて具体的に検討しています。まだ実行すると決まったわけではありませんが、いろいろな大学や研究機関の人たちと共同で真面目に計画しています。

火星に注目したきっかけ

火星の表面(画像:NASA)(画像クリックで拡大)

 これが火星の表面です。
 以前、これを見て私は、「ああ、これは生命はいないな」と思いました。だから2009年、JAXAのある方から火星の探査をやりませんかと誘われたときも、お断りしました。「火星にはきっと生命はいませんから」と言ったんです。前回の堀川さんのクマムシの話をもっと前に聞いていたら、私も何の心配もなく、クマムシを探し始めたんですけれどね(笑)。

 ところが、同じ2009年に気が変わりました。火星に生命がいるかもしれない、と思うようになったのです。なぜ心変わりをしたのか、そのきっかけからお話しましょう。

この連載の前回の
記事を見る

この連載の次の
記事を見る