第23回 ラオス料理は幸福のおすそ分け

シーパンドーンさん、ブンライさん夫妻は25年ほど前に来日。平日はともに働いているため、ラオス料理は土日が多い。ブンライさんのラープは牛肉が一番多く、時々モヤシを入れるという

 なんで私がラープを探していることがわかったんだろう……と不思議に思いつつも、「いいえ、まだです」と答える。すると、「じゃあ、こっちですよ」と男性は奥に案内してくれた。そこでは10メートル程の長さに組まれたテーブルに、さまざまな料理が所狭しと並べられていた。ラープは……あった、あった。大皿にたっぷりと盛られている。

 「何を食べますか?」と先ほどから気にかけてくれるのは、シーパンドーン・サイサナさん。新年を祝うために奥さんと東京のあきる野市から来たという。「ラープが食べたい」と言うと、「ラープは私の一番好きな料理です」と微笑んでお皿に盛りつけてくれた。

 ここのラープも豚肉だった。ただ、豚の耳も入っていてコリコリとした歯ごたえが小気味いい。大使館で出たものと味付けはそれほど違いがないが、辛さは控えめ。炒ったもち米の香ばしさも強く、これまたペロリとたいらげてしまった。

 「ラオス人はみんなラープが大好き。食べると元気になるんです。お祝いだけでなく、自宅で友人をもてなすときも必ず出すんですよ」とシーパンドーンさん。日本人が寿司や刺身で客人をもてなすのと同じ感覚ではないかと言う。つくり方を聞くと、「ラオスの男性は料理をしないから」とのことで、奥さんのブンライさんが教えてくれた。

日本に帰化した新岡さんは現在69歳。定年まで大和定住促進センター、東京品川区の国際救援センター(2006年閉鎖)で難民を助ける仕事をしていた。現在も在日ラオス人たちの心強い相談役だ

 「まず、肉を叩いて細かくし、よく炒めます。それから炒ったもち米と刻んだ玉ネギや長ネギ、パクチー、ミントを入れてさらに炒め、魚醤、塩、唐辛子、レモン汁などで味をつけて完成です。これは基本的な作り方で家庭ごとに少しずつ違いますよ」

 夫婦にお礼を言って別れ、センター内を見てまわる。するとまた、「ごはんは食べましたか?」の声。振り向くと年配の男性がいた。このセンターを運営するNPO法人在日本ラオス協会の事務局長・新岡史浩(旧名 レック・シンカムタン)さんだ。事情を話すと、料理のことならと、ラオス料理店を営む高山ビルンさんを紹介してくれた。