第23回 ラオス料理は幸福のおすそ分け

ラオス大使館で出た豚肉のラープ。海のないラオスでは魚のラープには川魚を使う。また、ヘビの肉や蟻の卵もラープの具材になるという

 「ラープです」

 叩いて細かくした肉を香草や野菜と一緒に炒めた料理だという。上にも青々としたミントの葉がまぶしてあって、独特な芳香が漂ってくる。「ラープという言葉には“幸福”という意味があります。だから、お正月や誕生日などおめでたいときには欠かせない料理なんです」

 そう言って、プヴォンさんがお皿に取り分けてくれた。ラオスの主食であるもち米と一緒に食べるのが一般的だという。さっそく食べてみる。

 たちまちにミントやパクチーのさわやかな風味が口の中に広がった。それから、豚肉の味が舌に伝わる。肉には東南アジアならではの魚醤の旨味に柑橘類の酸味、唐辛子の辛味がいいバランスで絡み合っていて、噛むほどに味わい深い。そして、ほのかに感じる香ばしさ。これは何だろうとプヴォンさんに問う。

 「炒ったもち米を入れるのがラープの特徴です。それに、今日は豚肉ですが、牛肉や鶏肉、魚介類でつくることもあります。私は牛肉のラープが一番好きですよ」

 話を聞いているうちに完食。お代わりを求めて料理コーナーに行くと長蛇の列ができていた。慌てて並ぶが時すでに遅し。ラープはきれいになくなっていた……。その代わり、列にいた人から得たのが「翌週、在日ラオス文化センターでも新年を祝うイベントがある」という情報。そこにもラープはあるのだろうか。これは確かめねばと(決して食べ足りないからではない)、お邪魔することにした。

 神奈川県愛川町にある在日ラオス文化センターへは、JR横浜線の淵野辺駅からバスを乗り継ぐか、タクシーで20分ほど。緑に囲まれて戸建て住宅が点在するのどかな地域にある。しかし、センターを見た瞬間、驚きの声を上げずにはいられなかった。金色の仏塔が立っているのだ。入り口にはやはり金色の龍を描いた看板が掲げられ、国旗が風になびいている。その異質な光景は、一瞬日本だということを忘れてしまうほどだった。

 入り口までラオスの人たちであふれかえっていて、何がどうなっているのかわからない。うろうろしていたら、一人の男性に声をかけられた。

 「ごはんは食べましたか?」

在日ラオス文化センターは2003年に開館。在日ラオス人たちが少しずつお金を出し合って家を購入し、改築してきたという
お坊さんを中心にみんなでつくった仏塔や仏像が庭に並ぶ。左の仏塔はラオス仏教の最高の寺院「タートルアン」を模したもの。ラオスではこの寺院の祭りが11月にあり、センターでもイベントを予定している