「同じ石川県ですが、五郎島金時という糖度の高いさつまいもがあります。ある農家が出荷できない形の悪いものを自分の工場でペースト状の菓子にして売ったら評判になりました。それで全国から問い合わせがくるようになったのですが、販路を全国に広げるには数量も増やさなければなりませんから、数億円の設備投資が必要になる。そのいっぽうで、周りの農家からは『本業はなんなんだ』と妬まれたりもするそうです。まだまだ閉鎖的な農業界ではそう単なものでもないのです」

 6次産業化は働き手や地域の特性に大きく左右されるのである。では、6次産業ができない農家はどうすればいいのか。また中山間地の農家が収益を安定させたり、資源をフル活用させたりするにはどのようにしたらいいのか。柴田さんは、それには「複合経営」をすべきだと語る。複合経営とは米だけではなく、野菜や果樹、畜産、酪農など他品目の生産を行うこと。稲作だけだと収穫が終われば閑散期に入るが、他品目の生産を行うことで閑散期はほかの作物をつくるなど、資源をあますことなく使うとともに、収益の安定性を図るというものだ。

「たとえば稲作をするのに借金をして農業機械を導入したとします。農作業は楽になりますが生産量を増やさなければ返済がままなりません。だからといって農地を拡大するとさらに借金が増えます。それなら購入した農業機械を稲作だけでなく畑にも使ったほうが効率的です。固定資産をフルに活用して収益をあげる。その地域や農家の条件も考えて、複合経営に目を向けることも大事だといえます」

 理想はアグリファンド石川のような6次産業かつ複合経営ができることだが、日本の農業は専業農家、兼業農家、自給的な農家などさまざまな形態によって成り立っている。適正規模を考えて地域ぐるみでそれぞれの経営方法を探っていくのがよいという。

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