File1 危機に備える 柴田明夫

第3回 2050年の日本の食料自給率は良くて5割

補助金に頼らず、融資を受けて積極的に農業を営もうという考えで発足したアグリファンド石川が刊行した、農の現場からの食育発信する書籍『農育人・農を、育む、人たち』(写真クリックで拡大)

「先進的な農家はすでに6次産業化を進めています。たとえば石川県の『アグリファンド石川』。金沢、白山、能登、加賀地区にまたがる専業農家の人たちが結成したグループです。組織が生まれたのが約30年前。彼らはちょうど米の不作と自由化の圧力で世間が騒いでいる時に、危機感を感じていちはやく改革に着手したのです」

 アグリファンド石川は補助金に頼らず、総合資金という融資制度を利用して積極的な農業経営を行っている。米にとどまらず、肉、酪農、小麦、大豆、野菜、果物、花など、農家ごとの個性を発揮した多彩な農業が営まれ、加工食品の販売やレストランを経営するところも多い。いずれも個人ではなく従業員を抱えた農業組織であり、販売においても独自のルートを持っている。これがひとつの理想的なかたちだと柴田さんは言う。

「生産から加工、販売、サービスと一貫した取り組みをおこなうことで付加価値を高め、事業収益の拡大へとつながります。それが持続的な農業経営を可能にするのです。農家が活き活きと活動することで農業の辛くて収益の低いイメージも払拭でき、若者の就農へとつながります。実際、アグリファンド石川では20~30代の若者も意欲的に取り組んでいます」

 政府でも6次産業を推進し、現状の1兆円規模から10兆円に拡大すべく力を入れているという。しかし、農家にとってはリスクもある。

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