知っているようでホントは知らない?  「恐竜」って何者?

学術的な定義に則れば恐竜は絶滅していない?

 大まかには恐竜のことを「脚が身体から地面に向かって真っすぐ伸びた爬虫類」と理解できても、厳密さを求められる科学の世界では、恐竜はどのように定義されているのか。

 恐竜をはじめ、絶滅した過去の生物を研究する古生物学者の間で受け入れられている定義は、「トリケラトプスと鳥類の最も新しい共通祖先とその全ての子孫」。なんとも堅苦しい定義で、言葉の意味は理解できても、「なるほど!恐竜って、そういう生き物だったのか!」と納得できる人はほとんどいないのではないだろうか。

 そこで、この定義を解説してみよう。

 まずトリケラトプスの名前が挙げられているのには、恐竜が「鳥盤類」と「竜盤類」という2つのグループに大別されていることが関わっている。トリケラトプスは鳥盤類に属しており、その中でも最も名の知られた恐竜なので、その名が定義に挙げられているのだが、ここで「トリケラトプスよりもティラノサウルスのほうが有名なんじゃない?」と感じた人は決して少なくないだろう。

 恐竜といえば多くの人がティラノサウルスを思い浮かべるはず。最も有名なティラノサウルスを差し置いて、トリケラトプスの名前が挙げられているのには、恐竜が「鳥盤類」と「竜盤類」に大別されているのに加えて、近年の研究により鳥類が竜盤類から進化したことが明らかになったことも関わっている。

 ティラノサウルスは竜盤類に分類されているため、定義にある「鳥類の最も新しい共通祖先とその全ての子孫」側の恐竜だ。そのため、もう一方の鳥類に進化することのなかった鳥盤類を示すのに、鳥盤類のその代表格としてトリケラトプスが挙げられているのだ。

 トリケラトプスを含む鳥盤類は絶滅したものの、竜盤類は鳥類へと進化していった。一般に恐竜は6500万年前、白亜紀末に絶滅したことになっているが、学術的に認められた定義で、「鳥類の最も新しい共通祖先とその全ての子孫」と明記されているのだから、恐竜は鳥類に姿を変えて、今もこの地球上に暮らしていることになるようだ。

(文・斉藤勝司)