先頭を走っていたトーニャも橇を止めて、私に叫んだ。

「夜の準備をするわよ」

 その声を聞いて、まるで卵を抱えるようにお腹で温めていたヘッドランプのバッテリーを本体に繋いで、頭につけた。

 その次は、腹ごしらえ。

「今のうちに夕飯にしよう!」

 と、トーニャは荷袋の中から次々と食料を取り出した。

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 熱湯を入れた保温水筒とホットチョコレートパウダー、朝に茹でたジャガイモ、ビスケット、クラッカー。

 ネイティブの人たちから貰って保存しておいたサーモンストリップと呼ばれるアラスカの鮭の燻製など。

 私たちは橇の周りに腰を下ろして、まずはクラッカーにピーナッツバターをたっぷりと塗った。

 サーモンストリップは、ユーコン川を遡上するキングサーモンのもので、脂が乗っていて、いくつもの山を越えて体力が消耗している私たちには、脂肪分がなによりも美味しい。

 むさぼるように食料を食べ尽くすと、今度は、これでもか! というくらいに砂糖を入れたホットチョコレートで体を温めた。

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