7500万年ほど前、ユタ州はララミディアと呼ばれる大陸の一部だった。その地で恐竜は独自の進化を遂げた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

米国ユタ州 知られざる恐竜の楽園

7500万年ほど前、ユタ州はララミディアと呼ばれる大陸の一部だった。その地で恐竜は独自の進化を遂げた。

文=ピーター・ミラー/写真=コーリー・リチャーズ

 化石の採集は、今も昔もローテクだ。フィールドワークのやり方にはあまり大きな変化はない。
 19世紀、米国西部の開拓地で化石が見つかったのをきっかけに、化石を掘り出して東部の博物館に送るのがブームになった。学者とカウボーイとならず者が、手に手を携えて荒野に出かけ、巨大な脚の骨を掘り出したのだ。彼らが使ったつるはしやシャベルや石こうは、今も古生物学者たちに愛用されている。

 ユタ州のグランド・ステアケース=エスカランテ国立モニュメントでも、昔ながらのテクニックで化石探しが続いている。ここでは、“失われた大陸”と呼ばれるララミディアの新たなお宝が見つかるかもしれないと言われている。
 ララミディアは、かつて北極海からメキシコ湾まで南北6500キロにわたって伸びていた陸塊で、その地層は現在では北米西部の地下に埋もれている。

シュワルツェネッガー級? 筋骨隆々の新種を発見

 そのララミディアの、7700万~7500万年前の地層で最初の大発見があったのは2002年のこと。1人のボランティアが地中に埋まった顎の骨に気づいたのだ。

 それは体長9メートルのハドロサウルス類(カモノハシ恐竜)の巨大な頭骨の一部だった。鼻先が大きく隆起していたので、100年ほど前にカナダで初めて見つかったグリポサウルスだと考えられた。しかしユタ州産のその大型恐竜は、デンバー自然科学博物館のスコット・サンプソンに言わせれば「筋骨隆々」で、「まるでカモノハシ恐竜界のアーノルド・シュワルツェネッガー」だった。これは新種の恐竜だとサンプソンらは考え、グリポサウルス・モヌメンテンシスと命名した。

 同じ年、今はデンバー自然科学博物館の標本製作責任者を務めるマイク・ゲティが、この層で別の新種を発見する。後肢で立つと高さ2メートルになる肉食恐竜だった。羽毛が生えていたと思われるその恐竜は、ハグリフス・ギガンテウス(鳥に似た巨大な神)と名づけられた。

 発見はさらに続いた。ドーム型の頭をした恐竜、よろいをまとったような恐竜。ティラノサウルスの近縁種、鎌のようなかぎ爪をもつベロキラプトルの近縁種、数種類の角竜など、それぞれに派手な外見をした新種が次々と見つかった。たとえば2010年にサンプソンらがコスモケラトプス・リカルドソニと名づけた種は、トリケラトプスの近縁種。サイほどの大きさで、その頭部には記録破りの15本もの角が生えていた。

 ユタ州で発見されたこうした恐竜の近縁に当たる化石は、ララミディア東岸に位置していたカナダのアルバータ州や、米国のモンタナ、ワイオミング両州の白亜紀後期の地層からも見つかっている。しかしユタ州の恐竜は、それらとは明確に違っていた。

※ナショナル ジオグラフィック2014年5月号から一部抜粋したものです。

編集者から

 カンブリア爆発をはじめ、生命の長い歴史のなかでは急激に進化していく生き物たちが時折現れます。三畳紀から白亜紀まで2億年もの間、我が物顔で地球を歩いていた恐竜の世界でも、驚きの進化がありました。
 舞台は失われた大陸ララミディア。白亜紀の後期、そこで角竜やカモノハシ恐竜、肉食恐竜などさまざまな恐竜が生きていました。現在のユタ州を中心に、ララミディアの恐竜の発掘作業が続いているのですが、今、次から次へと新種が見つかっているといいます。ユニークな姿形をしたものも少なくありません。
 有名なトリケラトプスの3本のツノは身を守るのに使っていたようですが、その仲間であるコスモケラトプスのフリルについている10本のツノはまったく役立ちそうにありません。ララミディアで生まれたこの恐竜は、なぜそんな姿を選んだのか。どうしてわずか2000万年程の短期間に、北米大陸の5分の1程度という小さな大陸で多くの新種が誕生したのか。特集ではその謎に迫ります。(編集N.O)

この号の目次へ

翻訳講座

ナショジオクイズ

クズリというこの動物で正しいのは?

  • イタチ科
  • クマ科
  • スカンク科

答えを見る

ナショジオとつながる

会員向け記事をお読みいただけます。

ナショナル ジオグラフィック バックナンバー

ナショナルジオグラフィック日本版サイト

広告をスキップ