第106回 タイ菓子が呼び込む金運、人運、仕事運!

 漠然と縁起がいい感じがする日本の紅白まんじゅうなどと違って、タイの縁起菓子は込められた意味が具体的でなんとなく「効く」気がする。本来は、お祝いの席などで食べることが多いお菓子なのだろうが、普段食べても運を運んできてくれそう。これって、日本人にも良運をもたらしてくれるのかしら? そこで、前回紹介した池袋のタイ菓子専門店「バーンカノムタイ」で、縁起菓子を買ってみた。

 店のショーケースの中には、濃い黄色をした縁起菓子がいくつも並び、日本人から見ても「めでたいお菓子」という雰囲気が伝わってくる。その中から、トーンイップとメットカヌン、カノムチャンを手に取った。

 カノムチャンはインドネシアの「クエ・ラピス」(第29回参照)に似ている。ただし、3色も4色も使ったカラフルなものも目に付いたクエ・ラピスとは異なり、全体の色調は統一され、白い層と色の層を交互に重ねることで一層一層がはっきり見えるようにしている。“階段”のように見えることが重要なのだろう。ココナッツミルクが入っていて、ういろうより少しぷるんとした食感。タイの人にも人気という同店のカノムチャンだが、思ったほど甘くなく食べやすい。

 次にトライしたのが、黄色い縁起菓子トーンイップだ。トーンイップのイップには、ギャザーを寄せるという意味もある。シロップを浸み込ませた、卵黄と砂糖で作った生地を器に入れた後、手でギャザーを作り花の形にしているのだ。「食べるとジュワーっとシロップがにじみ出てくるんですよ」との石川さんの説明を思い出し、どんなに甘いのだろうと恐る恐る口にしてみた。第3回で紹介した、シロップがどくどくと流れ出るようなインドの「グラブ・ジャムン」が思い起こされたのだ。ところが、これが意外に上品な味わいの卵菓子。確かに甘いが、卵の香りが立って美味しい。

トーンイップ。卵黄と砂糖を合わせ、よく泡立ててふわっとさせた生地を煮立てたシロップに落とし、固まったら器に入れ手でギャザーを寄せて花の形にする。ちなみにこの他に金運にまつわるお菓子には金のしずくの形をした「トーンヨート」(ヨートはしずく)がある
カノムチャン。写真は「バーンカノムタイ」のカノムチャンでパンダンで色付けしたものだが、バタフライピー(蝶豆)というマメ科の植物で色付けした紫色のものなど色合いは様々