第2回 長沼毅 謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性(後編)

長沼毅先生による「深海生物と宇宙生命のつながり」講義の後編です。木星のまわりを回る衛星エウロパには、どうやら表面の氷の下に海が広がっていそうなことがわかってきました。果たしてそこには生命が存在するのか、いるとしたらどんな生き物? 長沼先生の推理が冴えます(編集部)

深海の生態系はどうやってできているか

 前回、木星の衛星エウロパの話をしましたが、地球の話に戻って、暗黒の海底に生命はどのようにして生きているのか、という話をしましょう。

 地球の海底火山の話をするとき、ポイントとなるのは火山ガスです。成分は水素や硫化水素、メタンガスなどいろいろありますが、とにかく海底火山からは火山ガスが出ている。

 そうすると、火山ガスの成分を原料に化学反応をさせて栄養をつくるバクテリアがはびこるわけです。バクテリアってやつは面白いもので、火山活動をエネルギー源にして繁殖することができるんです。それなら太陽の光も、食べ物もいりません。火山ガスと、あといくつかの成分があれば、それで海底火山の岩の表面にベッチャリとはびこる。

 バクテリアがはびこると、これを食べるものも出てきます。海底火山なんて地獄のような環境と思うでしょう。確かにその通りです。でも、たとえ地獄でもいったん適応してしまえば、幸せなすみかになります。なにしろバクテリアを食べても食べても尽きることのない餌場なんですから。