第1回 長沼毅 謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性(前編)

 必ずやあります。けれど、それは見えていません。第2衛星エウロパにも火山があってしかるべきですが、それは見えない。なぜなら、表面が氷で覆われているからです。表面が氷で覆われた星なんて、変な星があるものだと思うかもしれませんけれど、太陽系を広く見わたすと十数個あると言われています。我が地球でさえも、過去に3回あるいはもっと多くの回数、全部凍った過去があるんです。そう考えれば、星が全部凍ってること自体は不思議でも何でもない。

 大事なことは、その氷の底に必ずや火山があるということです。火山の熱のせいで氷の底が解けて、液体の水になって、その液体の水の層がこの星全体を取り巻いている。表面が氷、内側が岩石、その間にサンドイッチのように挟まれた水の層がある。これを内部海といいます。

エウロパの内部海の想像図。奥に見えるのは木星とその衛星イオ(画像:NASA/JPL-Caltech)(画像クリックで拡大)

 木星には、特に大きい衛星が4つあります。今から400年ほど前にガリレオが発見したのでガリレオ衛星と呼ばれています。そのうちエウロパとガニメデには内部海があると考えられています。今、実は内部海を持っている星は、太陽系に14個あると想定されています。あくまで想定ですよ。エウロパはその筆頭です。

 エウロパの内部海の海底に海底火山があるとして、地球の海底火山には何がいましたか。食べ物も太陽の光もいらず、海底火山さえあれば自分で栄養をつくってしまう謎の深海生物がいました。そうだとしたら当然のことながら、このエウロパにも謎の深海生物がいるかもしれないという話が出てきます。

 高校生の私はその謎に惹かれ、大人になったらこの研究をしようと心に決めたんです。それで実際に大人になってJAMSTECというところに入ってですね、「しんかい2000」や「しんかい6500」といった潜水艇に乗って研究をしたわけです。

<後編につづきます>

長沼 毅

長沼 毅(ながぬま たけし)

広島大学大学院生物圏科学研究科准教授。海洋科学技術センター(現JAMSTEC)研究員を経て、1994年より現職。深海や南極、砂漠など極限環境の生物を研究する。著書に『死なないやつら』(講談社ブルーバックス)『地球外生命――われわれは孤独か』(岩波新書)『ここが一番面白い! 生命と宇宙の話』(青春出版社)など。

※ この連載は、2013年12月に相模原市立博物館で開催された講演会『宇宙にいのちを探す』の各講演を再編集したものです。

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