第1回 長沼毅 謎の深海生物にさぐる宇宙生命の可能性(前編)

 となると、ここにいるのは動物ということになります。動物とは、何かものを食べる生き物です。ところがこのチューブワーム、動物なのにものを食べている形跡がないんです。この生き物は光合成をせず、ものも食べないかわりに、どうやら自分で栄養をつくっているらしい。本当に不思議な生き物です。

 後で話しますけれど、光のかわりに海底火山に由来する何らかのエネルギーを使って栄養をつくっていたわけです。今はとりあえず、そのことだけ伝えておきます。

木星の衛星エウロパの氷の下に海?

 さて、このチューブワームの発見に、高校3年生の私は非常にワクワクしました。でも発見はこれだけではありませんでした。同じ年の同じ月の同じ週に、もう1つの発見があったんです。

 発見したのはボイジャー1号。1977年にNASAが打ち上げた無人宇宙探査機です。ずっと太陽系の外へ向かって飛び続けていて、2012年8月25日にどうやら太陽系の外に出たらしいことが2013年に発表されて話題になりましたね。

 このボイジャー1号が1979年に、木星の第1衛星イオで火山活動を発見しました。
 現在、木星には67個の衛星があるのがわかっていますけれど、この第1衛星イオの大きさは、地球の月とほぼ同じです。その第1衛星に火山活動が見つかった。それなら第2衛星や第3衛星にも火山があるんじゃないかということになる。